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伝説のコラボレーション「OMEGA」×「Swatch」の「Bioceramic MoonSwatch Collection」誕生秘話

2022年3月、時計業界にとってもファッション業界にとっても革新的なコラボレーションが発表された。それは「OMEGA(オメガ)」と「Swatch(スウォッチ)」の「Bioceramic MoonSwatch Collection(バイオセラミック ムーンスウォッチ コレクション)」だ。コレクションは大反響を呼び、今もなお話題となっている。

今回はこのコラボレーション誕生秘話を詳しく伺うべく、本国スイスとコンタクトをとった。他では明かされない貴重な物語がそこにあり、OMEGAファンもSwatchファンも必見の内容になっている。

Swatchは1983年にブランドスタートし、「GN100」をリリースするとその洗練されたデザインで瞬く間にファッショニスタの間で話題となり、バリエーション豊富さからSwatchを収集するSwatchコレクターも出現するほどだった。

1965年3月以来、ニール・アームストロング、バズ・オルドリン、およびすべての宇宙飛行士が、NASAのパイロット・ミッションで着用していたアイコニックなOMEGAの「Speedmaster Moonwatch(スピードマスター ムーンウォッチ)」。今回のコラボではそのスピードマスターにインスパイアされた形をした、11の異なるモデルが発表され話題となったことも記憶に新しいと思う。11のモデルはそれぞれ天体を表し、それぞれにクォーツ・ムーブメントが搭載されている。

極秘プロジェクトのシークレット・ネームは“ガリレオ”
2021年の春、世界はコロナによるロックダウンで人々が移動やレジャーを制限されていた頃、ポジティブな刺激を生み出し、カラフルで、これまでとは異なる驚くべき製品を考え出さなければならないという思いで、このプロジェクトは始まった。

従来のような事業計画、市場調査、その他の概念に基づくものではなく、ルールブックを捨て、本能、心と頭によって導かれ、情熱と生きる喜びが鍵となり、動き出すこととなる。そしてスウォッチ・グループのほんの少数の人々が集められ、小さなグループが設立された。この作戦のシークレット・ネームは“ガリレオ”と名付けられた。

スウォッチ・グループのCEO、ニック・ハイエック氏はコラボ先にOMEGAのSpeedmaster Moon watchをすぐに選んだという。そして、OMEGAをもつ同グループの「ETA(エタ)社」CEOダミアーノ・カサフィナ氏も加わり、プロジェクトは秘密裏に進んでいき、OMEGAでもSwatchでも、何が起こっているのか知っている人はほとんどいなかった。文書はほとんど配布されず、数多くの秘密会議が開催された。

数週間が経ち、OMEGAの製品担当バイスプレジデントであるグレゴリー・キスリング氏をはじめとする、さらなるスペシャリストたちがガリレオに加わる。

ニック・ハイエック氏は、Speed master Moon watch Collectionとその歴史に関する親密で深い知識を求めて、グレゴリー・キスリング氏と契約した。グレゴリー・キスリング氏は、自分がOMEGAの製品を作っているのではなく、そしてまたSwatchの製品を作っているだけではないことを理解していた。「このプロジェクトにはOMEGAからのインプットが必要だったんだ」とニック・ハイエック氏は話したという。

グレゴリー・キスリング氏は3週間身を隠し、太陽系の惑星または天体に関連する11個の時計という独創的なアイディアを出してきた。これこそがこのコレクションのすべての要素であり、その後このアイディアを軸にプロジェクトは進んでいった。

このプロジェクトのさまざまな柱のひとつに、Swatchが発明した「BIOCERAMIC(バイオセラミック)」がある。この素材がなければ、このプロジェクトが日の目を見ることはなかったという。3分の2がセラミック、3分の1がヒマシ油から抽出されたバイオ由来素材でできたBIOCERAMICは、シルクのような手触りでありながら強度と耐久性に優れた素材だ。

SwatchのNASAコレクションなどですでに採用されていたこの革新的な素材は、このプロジェクトでは豊富なカラーなどの新しい製造プロセスに取り組み、作業は膨大で簡単ではなかったが、コンフォートゾーンから抜け出し新たなレベルに達したという。

時計のディテールは極限まで追求された。コレクションに含まれる11個の時計は、オリジナルのOMEGA Speed master Moon watchの重要な要素を尊重している。直径42mmの非対称ケース、ダブル・ベベルのケースバック、 ベルクロ・ストラップ(バックルもバイオセラミック製)。さらに、すべてのモデルがオリジナルでSpeed master Moon watchへの鮮やかなオマージュを捧げている。

たとえば、Mission to the MoonはOmega Moonwatchにもっとも忠実なモデルですが、Mission to VenusはSpeed master 38とその特徴的なカウンターから直接インスピレーションを得た。Mission to Marsについては、赤いケースと秒針はOMEGAの“Alaska Project”ウォッチを参考にしており、カウンター針は宇宙ロケットをイメージしたものだ。オレンジ色のクロノグラフ針を備えたMission to Jupiterは、OMEGAのUltraman modelからインスピレーションを得ている。

10年語り継がれるコレクション
高級ブランドと、いわゆるエントリーレベルのブランドとの間のユニークなコラボレーションは、世界中にかなりのインパクトを残した。ニック・ハイエック氏は「驚きは完全でなければなりませんでした」と話す。スイスの時計産業全体にとっても非常に有益な影響がこのコラボレーションによってもたらされたと言える。

そしてニック・ハイエック氏は次のようにも予言した。「それは私たちの業界にハイパーラグジュアリー以外の何かを考えさせるでしょう。贅沢に集中したいという考えは簡単だが、危険でもある」永続的な成功を考えたとき、若者とそれほど若くない人、金持ちとそれほど金持ちではない人、その両方にとって魅力のあるものでなくてはならない。今回のコラボレーションはそれが一つの形となったと、ニック・ハイエック氏は思ったのではないだろうか。

『誰もが思ってもいなかった』このコラボレーションのミッションは明らかに達成されました。そして、これは始まりにすぎません」と綴られスイスからの回答は文章を終えていた。一部のオブザーバーは「10年語り継がれるコレクション」だと言った。

時計業界においてここまで話題になったコラボレーションは今までなかったと思う。Swatchがまた何かとてつもないブームを起こしてくれそうな予感がする。

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